日比谷高校の教科別メソッド

小論文について

概要

  • 50分間の試験です。
  • 「資料読解型小論文」というジャンルに分類される形式です。
  • 複数の資料(文章、表、グラフなど)から読み取った事実と考察を文章で答えます。
  • また、それを踏まえて自分なりの「問題」「課題」の解決策に関する意見を文章で書きます。

中学生と「小論文」

  • 中学校の授業では「小論文」という科目はありません。
  • したがって、小論文のテストや模試を受験したことがある中学生もほとんどいません。
  • というわけで、自分が書いた小論文が日比谷高校側からどういった基準・方法・観点で評価されているのかよく分からない人が多いと思います。

以上の理由から、一般入試対策以上にメソッドを細かく紹介することにします。

評価の観点

実は、日比谷高校推薦入試の小論文における「評価の観点」は公表されています。日比谷高校のホームページへのリンクを貼っておきますので、まずはそちらをご覧になってください。

ご覧になっていただけましたでしょうか。4つの「評価の観点」が紹介されていましたね。
このページでは、まずその4つの評価の観点に沿ったかたちで日比谷高校推薦入試の小論文対策についてお話します。

対策1:出題者が設定した「テーマ」を特定し、解答の指針とする。

日比谷高校推薦入試の小論文では、現在の国際社会あるいは日本社会が抱えている問題に関するテーマが出題されます。「時事問題」が出題されると表現することもできます。

試験会場で問題をみたときに「ああ、今回はこのテーマについて出題してきたんだなぁ。」ということを的確に理解できるようになっておくと有利です。大変そうに聞こえると思いますが、ある程度対策の範囲を絞ることはできます。社会問題・時事問題が出題されるといっても、どんなテーマでも出題されるわけではないからです。

どういうことかというと、日比谷高校推薦入試の小論文は「高校入試」の一つなので、中学校での学習と関連している必要があるという制約のなかで問題がつくられます。つまり、社会問題・時事問題のうち、中学校で習ったこと(特に社会科と理科で習ったこと)に関連するテーマが出題されるということです。

ただし、都立高校入試の一般入試社会科(や理科)で求められる「基礎知識」だけでは不十分です。

一般入試の形式では出題しづらい分野・内容・知識が出題されることが多いからです。また、一般入試で「基礎知識」とされている事柄に対して「なぜ?」「具体的には?」といった疑問を抱き、深く調べると獲得できるであろう知識が合否を分けることも多いです。

こうした学びを行うためには地理・公民の教科書をスミからスミまで読むことが必要です。そして、それに加えて「ニュース検定」の公式教材を活用することをオススメします。
理由①:級が6つに分かれているので、自分にあったレベルから対策を開始できる
理由②:問題集もあるので知識定着のための演習ができる

テーマを特定することで、「題意に沿った文章を書く」ことに成功する確率が上がります。何を書くべきで、何を書くべきでないかの取捨選択の基準を得ることができるからです。また、テーマと関連する知識を特定できると、「どういった内容の提案をするのか」等といった主張するべき内容の方向性もすんなり決めることができます。つまり、合格に近づくことができるということです。

具体例

入試年度設問テーマ活用したい知識
(教科書に載っているレベルに限定)
2021(令和3)問1農地を増やすことの功罪【地理】
アフリカで
・人口が急増していること
・飢餓や貧困に苦しんでいる人が多いこと
・焼畑農業が行われていること
・焼畑農業の環境への影響
2021(令和3) 問2SDGsのうち、
日本がリードしている取組と国際社会への貢献
【公民】
社会資本:道路・港湾・学校など
公共サービス:治安の維持など
【地理】
全国各地で高速道路、新幹線、港湾などの交通網を整備した。
災害が発生すると、電気・水道・ガス・鉄道・道路といった
ライフラインの復旧にあたること(経験・技術)
【中3理科】
持続可能な社会の構築を目指し、科学技術による資源の有効利用、
新素材の開発などが進められている。
2020(令和2) 集団の意思決定の方法【公民】
公正:みんなが参加をして合意を形成することが公正な手続きである
話し合いによる決定の仕方:それぞれの方法には長所・短所がある。
少数意見を十分に聞き、できるだけ尊重することが重要である。
決まりを評価する5つの視点のうちの1つ⇒決まりをつくる過程にみんなが参加しているか
2019(平成31) 革命期フランスの言語状況と
とるべき政策
【歴史】
・「富国強兵」のための政策に兵制だけでなく学制も含まれていたこと
・明治政府がアイヌの人たちに日本語を強制する同化政策をとっていたこと
2018(平成30)日本や世界の水資源の現状と今後【地理】
・降水の少ない瀬戸内地方では、水不足を解消するためにため池で農業用水を確保する、
雨の多い高知県にダムを造る、植樹をするなどの工夫がみられる。
・アフリカで人口爆発がおきており、食糧不足の深刻化などが懸念されている
【公民】
外交を担うのは政府だけではない。政府とNGOや企業が協力し、
連携することで国際社会の諸問題に対応できる。
国際問題の解決に取り組む企業が増えている。
【中3理科】
・日本は降水量が多く、それにより美しい自然の景観があり
飲料水や農業用水を確保することができている。
・持続可能な社会の構築を目指し、科学技術による資源の有効利用、
新素材の開発などが進められている。(2021と同じ)
2017(平成29)日本の社会保障が
目指すべき姿
【公民】
・政府は、国民に税金を負担させる代わりに社会保障などの支出を行っている。
これは、「国内の経済格差を改善して国民全員が健康で文化的な
最低限度の生活を送ることができるようにする」、という役割に基づいている。
・日本の財政は規模が拡大し続けており、巨額の債務残高を抱えている。
・社会保障とは、けが・病気・老齢・失業などに陥った個人に代わって
国が生活の保障を行う制度である。
社会保険、公的扶助、社会福祉、公衆衛生の4つを基本的な柱としている。
少子高齢化の影響で現役世代の人口が減るため、税収と保険料の収入が予測されている。
こうしたなかでいかにして社会保障を充実させるかは日本の重要な課題である。
制度間の格差があり、同種の保険どうしを統合する動きがある。
高福祉高負担が北欧で受け入れられているのは、
「高負担が社会保障を通じて自分たちに返ってくるからだ」という実感があるからである。
社会保障と充実と経済成長の両立が日本の重要な課題である。
2016(平成28)問1二酸化炭素濃度の変化【公民】
地球温暖化は様々な環境破壊の原因となる問題である。
二酸化炭素などの温室効果ガスの大気中濃度が高くなることで発生している。
【中3理科】
社会の工業化が進むにしたがって石油や石炭などの化石燃料の消費量が増え、
大気中の二酸化炭素濃度が上昇した。
【過去問】
平成23年度入試の理科大問2問2(レポート2)がドンピシャの出題です。
2016(平成28)問2エネルギー源を化石燃料中心でいくか
再生可能エネルギーや原子力中心でいくか
【地理】
・地球温暖化対策として、二酸化炭素の排出を削減するために
再生可能エネルギーの利用を広げる取り組みがなされている。
代表例は風力発電と太陽光発電。
・火力発電には二酸化炭素の排出量が多い、化石燃料の枯渇につながるという欠点がある。
・原子力発電には事故がおきた際の被害が大きいことや
放射性廃棄物の最終処分場の場所を決めることが難しいなどの欠点がある。
・太陽光発電は住宅の屋根などでおこなわれている。
また、工場の跡地や使われていない農地などで大規模なものも行われている。
・風力発電は騒音被害を避けるために海岸や山間部で行われる。
・地熱発電は火山の近くで行われている。開発に時間がかかる、
自然環境の保護や温泉利用との調整が必要など課題が多い。
・バイオマス発電は地域ごとの特性を活かして動植物を活用した発電が行われている。
【公民】
・化石燃料は可採年数が限られている。
・原子力発電は発電時に二酸化炭素を排出しないが、事故が起こると大きな被害が発生する。
発電後に残される放射性廃棄物の最終処分場をどこにするかという課題もある。
・再生可能エネルギーには資源確保の問題がなく、二酸化炭素の排出もない。
・再生可能エネルギーは、現在の技術では発電などにかかる費用が高く、電
力の供給が自然条件に左右されたり、自然や観光との共存が課題となっているものもある。
【中3理科】
火力発電に使われる石油・石炭や原子力発電に使われるウランは有限な地下資源である。
いつか枯渇する資源であるため、再生可能エネルギーなどのあたらしいエネルギーの利用が
推進されている。これらは、単独では小規模であり、
安定した電気エネルギーを供給することは難しい。
燃料電池もクリーンなエネルギーとして注目されている。
2015(平成27)日本・東京の観光業 【地理】
日本の第3次産業
・サービス業の成長が著しいこと
・観光産業は自然・文化の体験や工場見学など新しい取り組みを活発に行なっていること
・地域の魅力を引き出す取り組みがあること
関東地方
・テーマパークなどの施設に各地から多くの観光客が訪れていること
・人口が多く交通の便が良いため、多種多様な場所や施設が整備されていること
・成田空港や羽田空港があり、世界への窓口・日本の交通の中心としての役割を果たしていること
【公民】
文化交流を通じて相互理解を深め、日本の文化や日本の魅力について発信できれば
外国人観光客が日本にくる機会を増やすことができる。

年度ごとにみるとこのようになっています。以下にポイントを記載します。

・地理、公民、中3理科の知識を活用する場面が多いこと
・社会の知識は毎年用いられること
・歴史の知識を活用する年もあったということ
・中3理科では、環境問題やエネルギー問題を中心とした「自然と人間」「科学技術と人間」に関する知識を用いること

対策2:与えられた資料を分析・考察する

日比谷高校推薦入試の小論文では、毎年必ず何らかの文章、表、グラフが資料として与えられます。それらに載っている情報のうち、必要なものを文章化して解答に活用します。

必要な情報を探し出すための主なアクションは

・数値を比較する
・異なる資料どうしを関連づける
・テーマ(出題者の意図)に沿ってどの部分を活用するか決める
・統計処理をすること(割合、比、単位量あたりの大きさなどの算数知識を活用して数値データを算出すること)が必要になる年もあります
・資料からわかることを「考察」として答える
・どの資料のどの箇所に関してどのような考察をしたのかを明示する

といったものです。
資料の種類による対応方法を知っておきましょう。

文章の読み取り方

論理的に読み解くことで、「要旨」にあたる部分がどこにあるのかを特定する。
因果関係:接続語などの表現に注目して、「原因」「結果」が書かれている部分を特定する。
具体例:具体例を表すことばに注目する。(具体例は要旨ではない)
対比:何と何をどんな観点で対比しているのかを特定する。

表の読み取り方

他と比べて数値が大きい項目や小さい項目に着目する。

グラフの読み取り方

グラフを読み取るときは、
①どんな種類のグラフか
②何についてのグラフか(どんなタイトルのグラフか)
③何を比較しているか
④数値の単位はどうなっているか
注目する。

・棒グラフ:数値が大きい項目と小さい項目に比較しながら、項目どうしを比較する。例:「数値の差が50ある」「数値が3倍になっている」「数値が4分の3になっている」
・折れ線グラフ:時間の経過による増減などの変化をみる。線の傾きが急なほど変化が大きい。
・円グラフ・帯グラフ:全体に占める割合を表す。構成比の大小、全体における割合、他の要素との差に着目する。円グラフからは1つのものの割合を、帯グラフからは複数のものの割合の違いの比較を読み取る。

複数の資料を関連付けける方法

・資料間で違いがはっきりしている部分に着目する
例(2016年日比谷高校推薦入試小論文より)
資料A:「化石燃料をエネルギー源にし続けると、2050年には1900年と比べて平均気温が4℃上昇する」
資料B:「核エネルギーや太陽エネルギーをエネルギー源にすると、2050年には1900年と比べて平均気温が1℃上昇する」

・複数の資料に共通する項目や関連する項目に着目する
例(2015年日比谷高校推薦入試小論文より)
資料A:「日本の外国人旅行者受入数は他国に比べて少ない」
資料B:「日本の国際観光収入は他国に比べて少ない」

・違いが生じている場合、どこに違いが生じているのかを読み取り、その理由を考察する
例(2018年日比谷高校推薦入試小論文)
資料A:「フィリピンやナイジェリアはアメリカ・カナダに比べて年間平均降水量が多い。」
資料B:「フィリピンやナイジェリアはアメリカ・カナダに比べて水資源料が少ない。」
フィリピンやナイジェリア(抽象化すると発展途上国)は、アメリカやカナダ(抽象化すると先進国)に比べて雨水を水資源として活用するための設備や技術を用意できていないと考えられる。

資料を分析・考察する際の注意点

・「資料からわかることを答えなさい」という問題で書くのは資料から読み取ることができる「事実」です。「~すべき」などの自分の意見を書かないように注意してください。
・どの資料からどのような「事実」を読み取ったのかを明確にして答えましょう。
・できるだけ数値を使って答えましょう。
例:「増えた」ではなく「3倍に増えた」と書く。

対策3:明確な根拠を基に、自分の意見を表現する

どの資料のどの事実に対し、どのような意見を持ったのかを書く。多くの場合、解決策の提示が求められる⇒「私は、~すべきと考える。」というかたちになる。

  • 設問の要求内容によっては、意見の表現が不要な場合もある。(資料から読み取った事実だけを答えれば良い設問もある)
  • テーマに関する前提知識を活かし、そこで述べられていることを自分の「意見」とすることで文章が書きやすくなる場合が多い。
    「再生可能エネルギーの利用を促進するべき」
    「より多くの人の意見が決定に活かされる決定方法が採用されるべき」
    「東京の文化や魅力について積極的に全世界に発信するべき」など。
  • 提示する解決策は「実現不可能」「あまりにも非現実的」なものであってはいけない。
    現実的な解決策を提示すること。
    ダメな例:「私たちは電気を消費する生活をやめ、江戸時代の生活水準で暮らすべきである。」(非現実的である)

対策4:論理的な文章を書く

論理的な文章を書くことを意識する前に、正しい日本語のルールで1文を書くことができるようになっておきましょう。

前提①:日本語を書くときのルールを守る 
例:助詞(てにをは)、句読点、ら抜き言葉、原稿用紙のルール
前提②:1文をわかりやすくする  
例:主語・述語を正確に対応させる、1文は短くする(60字程度にする)

正しい日本語のルールで1文を書くことができるようになったら、論理的な文章を書くことを意識していきましょう。

では、「論理的」とはどういうことなのでしょうか?まずはそれを紹介します。

論理①接続語:論理構造を読み手にわかりやすく示すことば

(例)
因果関係を示す接続語=「だから」「なぜなら」など  
要点を述べる接続語=「つまり」など
対比を示す接続語=「一方」「しかし」「それに対して」など

論理②因果関係:原因と結果の関係   

何が原因で何が結果なのかを意識し、それを明らかにしていく文章を書くようにする。

因果関係は、接続語を使って表現することが多い。
「原因+だから、それで、そのため+結果」 
例:「風邪をひいた。だから学校を休んだ。」
「結果+なぜなら+原因」 
例:「学校を休んだ。なぜなら、風邪をひいたからだ。」

指示語以外で表すこともできる。例:「その結果として、…」

論理③具体と抽象=細かく分けた物事と大まかにとらえた物事

  • 抽象⇒具体の順に例を示す。
    「国⇒アジアの国⇒日本」
    「人間⇒アジア人⇒日本人⇒未成年⇒高校生⇒都立高校生⇒日比谷高校生⇒野球部員⇒ぼく」
  • 具体化する接続語:「例えば」  
    例:「私はヨーロッパ旅行が好きだ。例えばイタリア、ドイツといった国には何度もいったことがある。」
  • 抽象化する接続語:「つまり」
    例:「私はうどんやそばやラーメン、つまり麺類が大好物である。」
  • 抽象化されたものは「要点」となる。(「つまり」「すなわち」など。)
    例:「受験生は平日も土曜日も日曜日も祝日も勉強しなければならない。つまり、毎日勉強しなければならないのである。」

論理④対比:二つの物事を比べて違いや特徴をはっきりさせること 

複数の選択肢のなかから何か1つを選ぶときの根拠にすることができる。

例:先進国⇔途上国 
  化石燃料⇔再生可能エネルギー 

活用する接続語:「一方」「しかし」「それに対して」など
対比を表す言葉を使って、同じ観点からの対比になるように文章を書く。

文章の構成

論理的でわかりやすい説明の方法とされる「PREP法」を紹介します。

PREPとは、
①P:Point (結論:主張、要点)
②R:Reason(理由:結論に至った理由、そう主張する理由)
③E:Example(具体例:理由に説得力を持たせるための事例・データ・状況)
④P:Point(結論:主張、要点)
の頭文字をとったものです。

つまり、

まずはじめに結論を伝えてからその結論が正しいと考えられる理由を説明し、その理由に説得力を持たせる事例やデータを提示し、最後にもう一度結論を述べるという構成です。

例を挙げます。
P:「日本は、化石燃料を消費する火力発電の発電量を減らし、再生可能エネルギーを用いた発電の発電量を増やすべきである。」
R:「なぜなら、それが地球環境の持続可能性を高めるために必要な施策だからである。」
E:「例えば、このまま化石燃料を消費する経済活動を継続した場合、30年後には年平均気温が4℃近く上昇すると予測されることが図6で示されている。」
P:「したがって、日本は、化石燃料を消費する火力発電の発電量を減らし、再生可能エネルギーを用いた発電の発電量を増やすべきである。」

※2択のうち「どちらを選ぶべきか」というテーマの文の場合、Rの部分で「たしかに・・・(反対派の意見)である。しかし、・・・(反対派の意見を否定できる事実)といえる。だから、・・・「主張」だ。」という構成をとることも有効である。

(例)
「確かに、再生可能エネルギーによる発電は火力発電による発電と比べて発電コストが高く、大規模な発電はできない。しかし、新しい技術の開発により発電コストを抑えることはできるし、大規模な発電はできなくても、住宅の屋根に太陽光発電のできるパネルを設置するなど様々な場所で発電を行うことができる。」

この構成で文章を書くには、2つの選択肢(この例では火力発電と再生可能エネルギーによる発電)についてそれなりの知識を持っていることが必要です。
そこで、「テーマについての知識」をもっておくことが文章を書くために必要になるというわけですね。

対策5:対策1~4を、時間と文字数の制約のなかで実行する

制限時間:50分
文字数:年度によって内訳は異なるが、合計で600字となる。

入試年度文字数(制限字数MAXで計算)
2021(令和3)140字+460字=600字
2020(令和2)60字+540字=600字
2019(平成31)100字+500字=600字
2018(平成30)240字+360字=600字
2017(平成29)600字
2016(平成28)字数制限なし+100字+440字=540字+α
大問1問1は60字程度で答えるのではないかと推測できる
2015(平成27)200字+400字=600字

訓練方法
・慣れないうちは時間無制限で解き、手順に沿ってじっくり考えるクセをつける。
・手順に慣れたら時間を測って解く。
・それに対し、文字数ははじめから与えられた制限のなかで書く。
・何度も書くなかで「600字」がどのくらいのボリュームなのかを感覚的につかむ必要がある。
・書いた文章を誰かに添削してもらい、内容面のチェックをしてもらう。

【おまけ①】小論文チェックリスト

書いた小論文を評価する場合に、以下のチェックリストを活用してください。

書いた小論文が・・・

  • 文字が汚すぎたり薄すぎたりして読みづらくないか
  • 文体を常体(文末が「だ・である」)または敬体(文末が「です・ます」)で統一しているか
  • 誤字・脱字はないか
  • 1文のなかで主語と述語は対応しているか
  • 話し言葉を使っていないか
  • 修飾語を適切に使えているか
  • 接続語を正しく使えているか
  • 指示代名詞が何を指しているのかあいまいまたは分かりづらい箇所はないか
  • 原稿用紙の使い方は正しいか
  • 書き出しと段落の一番初めは一字下げているか
  • 句読点、符号は1マス使って書いているか
  • 句読点が行の初めにくるときは、前の行の最後のマスに文字と一緒に書くか、欄外に書く
  • 設問全体のテーマに沿っているか
  • 設問が要求している条件を満たしているか(字数、内容など)
  • 意見の理由・根拠が明確に述べられているか
  • 文章の構成が論理的になっているか
  • 資料から読み取った内容が書けているか
  • 反社会的・反道徳的な内容になっていないか
  • 極論や現実味のない内容になっていないか
  • 事実の誤認がないか

といったことをチェックしてみてください。
そして、これらに当てはまった場合はその箇所を正しく書き直しましょう。

【おまけ②】:東大地理と日比谷高校推薦入試小論文

2015年~2021年の日比谷高校推薦入試小論文のうち、地理に関する知識を活用する年は2015年、2016年、2018年、2021年です。

これらの年について、以下の表を作成しました。

日比谷高校
入試年度
問題内容東大入試
年度
内容
2021(令和3) 農地を増やすことの良い影響と悪影響 2020(令和2) 第2問設問A(1)
人々の食生活に占める動物性食品の割合が増えることで、
陸上の自然環境に及ぶ悪影響
2018(平成30)日本の水資源の特徴
世界の水資源問題の特徴
2017(平成29)第2問設問A
水資源に関する問題
2016(平成28)大気中の二酸化炭素濃度の上昇
化石燃料と再生可能エネルギー
2015(平成27) 第1問設問A(2)
バイオマスの再生産が地球温暖化につながらないとされる理由
第1問設問B(2)
地熱発電の設備容量の伸びが停滞している理由
2015(平成27)観光立国推進 2014(平成26) 第2問設問B(1)
1990年から2010年にかけて、ヨーロッパの主要都市圏で
国際旅客数の伸びが大きくなっている理由

いかがでしょうか?

日比谷高校推薦入試の小論文は、前年の東大地理の影響を受けているのかもしれませんね。

ちなみに東大入試地理の2021年のテーマのうち、日比谷高校推薦入試に関連しそうなものを挙げてみると

①地球温暖化が陸・海それぞれに与える悪影響
②地球温暖化がもたらす気候変動による降水量の変化と降水量減少により発生する災害
③中国・アメリカのエネルギー開発の施策
④インターネットの普及による、国際社会で使われている言語の状況の変化
⑤インドとインドネシアによる公用語の使用の広がり(日比谷2019のテーマ)
⑥アジアの人たちにとってオーストラリアが人気の高い留学国となっている理由
⑦韓国で留学する若者が増えた理由
⑧イスラエルが周辺国と比べて女性の労働力率が高い理由
⑨フィリピンで、管理職に占める女性の割合が高い一方で女性の労働力率があまり高くない理由

となります。

そこで、2022年日比谷高校推薦入試小論文のテーマを予想するとすれば

・地球温暖化がもたらす具体的な悪影響+それを防ぐ(軽減する)方法
・日本人が留学に対して持っているイメージ+留学する若者を増やす方法
・日本の女性の労働力率の特徴+女性の社会参画を促す方法

の3つになると考えています。
推薦入試対策の参考にしてみてください。

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