日比谷高校の教科別メソッド
面接について
概要
- 面接官2~3名対受験生1名で行われます
- 時間は入室・退室を含めて15~20分程度です
- 出願時に提出した自己PRカードの内容に基づいて行われます。
- 面接官からの質問に対する回答内容だけでなく、入退室時や面接時の見た目の印象も採点対象だと考えてください。
1:面接における評価の観点
日比谷高校は、推薦入試の面接における「評価の観点」を公表しています。
つまり、面接で何を評価しているのかを明らかにしてくれているのです。
「評価の観点」には以下の4つの項目があります。
・出願の動機・進路実現に向けた意欲
・リーダーシップ・協調性
・コミュニケーション能力
・思考力・判断力・表現力
これら4つをアピールできれば面接で高得点がとれるということになります。
このページでは、それを実現するための面接対策をお伝えします。
なお、面接で高得点をとるには自己PRカードの対策が必要不可欠です。
自己PRカードの書き方についてはこちらのページで紹介しています。面接対策について考える前に、必ず自己PRカードの対策ページを読んでおいてください。
「評価の観点」の各項目について、解説を付記します。
出願の動機・進路実現に向けた意欲
「日比谷高校に入学したい」という想いが本気かどうかを、
- 入学してからやりたいことが明確になっているかどうか
- それにつながる活動を中学時代にしてきたか
などを質問して判断します。
また、日比谷高校卒業後の進路について
- 難関大学を目指しているか
- 大学で研究したいこと(学びたいこと)がどの程度具体的になっているか
- 大学で研究したい(学びたいこと)と中学で取り組んだことや高校で取り組みたいことに一貫性あるか
といったことが判断できるような質問をしてきます。
リーダーシップ・協調性
中学時代のリーダシップや協調性を発揮した経験について、
- 5W1H(「いつ」「どこで」「誰と」「どのような」など)
- 工夫したこと
- 心がけたこと
- 気持ち
- 何を得たか
- 大変だったこと+それをどうやって乗り越えたか
といった質問することで、日比谷高校で仲間たちと協力して学びを深めていく資質があるかどうかを判断します。
コミュニケーション能力
「コミュ力」というと、友人が多いかどうかや異性にモテるかどうかといったことを想像する人も多いかもしれません。
しかし、面接対策でいう「コミュニケーション能力」とはそういったものではありません。
面接対策でいう「コミュニケーション能力」とは、
- 面接官の質問の意図を正しく理解する能力
- 伝えたいことを分かりやすく表現する能力
を指しています。 これらを発揮できるように面接の準備や練習を行いましょう。
思考力・判断力・表現力
「コミュニケーション能力」と同じです。
- 面接官の質問の意図を瞬時に正確に思考・判断する力
- 自分の回答をわかりやすく表現する力
をチェックされるのだと考えておいてください。
2:ノンバーバルコミュニケーション
ノンバーバルコミュニケーションとは、「言語を使わないコミュニケーション」です。
言い換えると、「話の内容以外のコミュニケーション全般」ということです。
このページでは、面接における「回答の中身以外のコミュニケーション全般」を指すと考えてください。
第一印象はノンバーバルコミュニケーションで決まります。
そして、第一印象が良くないとそこから挽回して面接で高得点をとることは極めて難しくなります。
良い印象を与えるためには何が重要なのかを知り、正しい準備をしていきましょう。
ノンバーバルコミュニケーションの代表的なポイントは次の5つです。
①姿勢
②身だしなみ(服装・髪型)
③表情
④目線
⑤声
1つずつ解説を付記します。
①姿勢
座っているときの姿勢
- 胸を張り背筋をまっすぐ伸ばす(頭・首・腰に1本線が通っているように意識する)
- 椅子に浅めに腰かける(背もたれには寄りかからない)
- 正面を向き、顎を引く。
- 両足ともかかとを床につける。
- 男子:左右の足の間が拳1つ分になるくらいの幅で足を広げる。
軽く拳を握って両ひざの上に置く。 - 女子:膝をつけて足をそろえる。
手のひらを重ねて膝のあたりに置く。
②身だしなみ(髪型・服装)
キーワードは「清潔感」です。
「清潔感を感じてもらえるかどうか」が身だしなみが整っているかどうかの判断基準になります。
髪型
男子:前髪を上げておでこをみせる、耳周りをすっきりさせる
女子:髪が長ければ1つに結ぶ、おじぎした際に髪が顔にかからないよう、顔周りの髪の毛を固定しておく
服装
- 制服がある学校に通っている場合は制服を着用しましょう。
- 制服のない学校に通っている場合は、若者らしい清潔感のある服装にしましょう。
シャツ
- シャツはジャストサイズのものを選びましょう。
- 面接当日は、アイロンをかけたシャツを着用しましょう。
- シャツのボタンは第一ボタンまですべてとめましょう。
上着
- ブレザーの場合は、一番下のボタンだけを外すのが一般的です。
- 学ランのホックは閉めてください。
- ポケットのなかにはハンカチ以外のものは入れないでください。
- ポケットの蓋は外へ出しましょう。
ベルト
- ベルトは、中学校の標準ベルトがあれば、それを着用しましょう。
- ない場合はビジネス用のシンプルなものを着用しましょう。
- ベルトの色は靴の色と合わせるとよいです。
靴
- 靴は革靴が望ましいです。学校指定の靴がある場合はそれにしましょう。
- 手入れのされた、かかとのはきつぶしや傷がないものをはいて行きましょう。
靴下
- 男子のソックスは学校指定のものまたはビジネス用の黒いものにしましょう。
- 女子のソックスは学校指定のものまたは黒か紺のハイソックスにしましょう。
スカート
- 女子がスカートを履く場合、スカート丈は中学校標準にしましょう。
③表情
緊張しても基本は笑顔をキープしましょう。(少し口角を上げることを意識しましょう)
熱意や意欲を伝える場面では真面目な表情をしましょう。
話すときは上の歯を見せるくらい口を開けることを意識すると良い表情になります。
④目線
- 面接官から目をそらさないようにしましょう。
- とはいえ、ずっと目を合わせるのはお互い気まずいので、面接官の眉間から喉仏あたりまでのどこかに視線を定めておくと良いです。
- 用意してきた回答を思い出そうとするときは斜め上に目線が行きがちです。「思い出す」必要がないくらいに何度も練習しましょう。
- 面接官は2人以上います。質問に回答しているときは、質問をしてきた面接官に目線を合わせましょう。
- 質問に回答した後、他の面接官全員に目配りをしましょう。
⑤声
- 大きさ:いつもより大きな声を心がけましょう。
- 高さ(トーン):緊張すると声が高くなりやすいです。いつもより低めの声で話すことを意識してください。
- テンポ:緊張すると早口になりやすいです。いつもよりゆっくり話すことを意識してください。
- 滑舌よく、語尾まではっきりと聞き取れるよう発音しましょう。
- 声の大きさ、テンポのメリハリを意識しましょう。
それ以外の注意点
- 入退室のときはテキパキと動きましょう。
- 面接中に手遊び(指を揉んだり、手を握ったり開いたり、そわそわとした動作)をしないようにしてください。
- 面接中に足で貧乏ゆすりをしないようにしてください。
- 同時に二つの動作をしないようにしてください。動作は1つずつ行いましょう。
例:(入室時)①扉を開ける②挨拶をする③一礼する - 礼の種類を知り、使い分けましょう。
礼の種類 | 内容 | 用途 |
---|---|---|
会釈 | 身体を15度曲げます | 面接では使いません |
普通の礼 | 身体を30度曲げます | 入退室の際に行います |
丁寧な礼 | 身体を45度曲げます | 椅子の横で行います |
入退室の流れ
①入室までの待ち時間
- 待ち時間は良い姿勢で名前が呼ばれるのを待ちましょう。
- 面接の待ち時間にはスマートフォンを見ないようにしましょう。
- 面接想定問答集(「よくある質問」とそれに対する回答をまとめた表)を確認しておきましょう。
- 社会や理科の用語集を持っていき、小論文のテーマに関連する知識を確認しておきましょう。
②入室~着席まで
- 名前や受験番号を呼ばれたら「はい」と返事し、起立して「普通の礼」をしましょう。
- 係の人の誘導に従ってドアの前に移動しましょう。
- 入室の際は、ドアが開いていても閉じていてもドアを3回ノックしましょう。
- 「どうぞ」などの入室を促すことばを待って入室します。
- 入り口で立ち止まり、面接官に「失礼いたします」と言いましょう。
- 両手を使ってドアを開閉します。その際、できるだけ面接官にお尻を向けないようにしてください。
- ドアを閉め終わったら再度「失礼いたします」と言い、「普通の礼」をしましょう。
- 入り口から近い方の椅子の横に移動しましょう。
- 移動したら、姿勢を正して「○○中学校から参りました○○です。よろしくお願いします。」と元気よく言ってから「丁寧な礼」をしましょう。
- 「どうぞ」などのことばで着席を促されてから「失礼します」と言い、席に座りましょう。
- 荷物は椅子の横に置いてください。どこにおくか指示された場合は、それに従ってください。
③退席~退室まで
- 「以上です。」などの終了合図があったら、座ったまま「ありがとうございました」と言います。
- その後立ち上がって椅子の横に立ち、「失礼いたします。」と言ってから「丁寧な礼」をします。
- ドアの前に進んだ後、面接官の方を向いて「失礼します。ありがとうございました。」と言ってから「普通の礼」をします。
- 両手を使ってドアを開け、退出します。
- ドアを静かに閉め、部屋の前から立ち去ります。
- 学校を出るまでは「面接中」です。騒いだり気を抜いたりしないでください。
3:バーバルコミュニケーション
①言葉遣い
- 敬語を正しく使えるように練習しておいてください。
- まずは「~です」「~ます」という口調を意識しましょう。
②挨拶と返事
- 適度に大きな声での挨拶やはきはきとした返事を心がけましょう。
- 入退室のときや質問に答える際、発言の頭につける「はい。」という返事の際は、特にこれを意識してください。
③よくある質問20とそれぞれの回答方針
質問1:日比谷高校を志望した理由・日比谷高校の魅力
派生の質問
- 日比谷高校の校風・特色・教育目標について
- 日比谷高校への来校回数と感想
- 日比谷高校の特徴(他の高校との違い)
- 説明会や文化祭で抱いた日比谷高校の印象
自己PRカード設問1の内容を答え、その後面接官が質問によってその内容を具体化していきます。
「派生の質問」への回答を意識して準備しておきましょう。
質問2:この高校に入学したら何を頑張りたいか(入学後の抱負は何か)
- SSHについて
- グローバル10について
- 卒業後の進路(自己PRカードの設問3に書いた内容)を実現するための努力について
- 部活動について
などのなかから具体的に話せるよう準備しておきましょう。
質問3:中学校生活で一番頑張ったこと・努力したこと・印象に残っていること
派生の質問
- それらを通して得たもの・学んだこと
- 一番大変だったこと+それをどう乗り越えたか
- 中学生活の反省点
自己PRカード設問2の内容を答え、その後面接官が質問によってその内容を具体化していきます。
「派生の質問」への回答を意識して準備しておきましょう。
質問4:勉強と部活の両立について
「一番頑張ったこと」として答えた内容が部活動であった場合に質問されやすいです。
主体性や計画性問う質問だと考えてください。
時間を有効に活用するための工夫を答えると良いです。
質問5:高校卒業後の進路と将来の夢
自己PRカード設問2の内容を答え、その後面接官が質問によってその内容を具体化していきます。
自己PRカードに書いた内容について、詳細をしっかり調べておきましょう。
質問6:グローバル化のなかで、リーダーにはどのような資質が求められるか
過去に実際に問われた質問です。
異文化理解、メンバーの多様性の受容といったことが回答の方向性になります。
質問7:自分の長所、短所は何か
長所について:自己分析をして自分の長所を明確にしておきましょう。
長所を発揮して物事が上手く行ったエピソードを用意しておいてください。
短所について:自己分析をして自分の短所を明確にしておきましょう。
短所は長所と関連付けましょう。(短所は長所の裏側です。例えば「強い信念を持っている」が長所の人には「頑固」という短所がある、ということです。)
短所を克服するための意識、行動、工夫を話すようにしましょう。
質問8:あなたの趣味・特技は何か
あなたの個性を知るための質問です。
内容に優劣はありませんので、自信を持って語ることができるあなたの趣味・特技を答えましょう。
質問9:尊敬する人は誰か
様々な回答ができる質問ですが、自己PRカードの設問3に記した内容を既に達成している人物を挙げることが一番無難です。
質問10:最近気になったニュースはなにか
- 質問5の内容と関連するニュースを知っているか
- ニュースに触れる習慣があるか
- ニュースを理解したうえで自分の意見を持っているか
- それを分かりやすく伝えられるか
が試されていると考えてください。
特定の時事問題について質問してくることも考えられます
質問11:最近読んだ本は何か
- 質問5の内容と関連する書籍を読んでいるか
- 読書の習慣があるか
- 本の内容を理解したうえで自分の意見を持っているか
- それを分かりやすく伝えられるか
が試されていると考えてください。
質問12:1分間で自己PRをしてください
- PREP法でプレゼンをしましょう。
- PREP法とは、「結論⇒理由⇒例⇒結論」の順に話す技法です。
- PREP法の詳細は当サイトの「小論文」のページで紹介しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
質問13:周りの人からあなたがどういう人だと思われているか
- クラスではどのような存在・役割か
- 普段の人柄や性格を知りたい
という意図でなされる質問です。
他の質問への回答と一貫性を持たせることを意識しましょう。
質問14:通学経路と通学時間
- 本気で通いたいなら調べているだろう
という意図で質問されます。調べておきましょう。
質問15:得意教科と苦手な教科
得意教科:大学で研究したいこと(学びたいこと)や将来やりたいことに関連する科目を答えましょう。「どの内容がどう興味深かったのか」も答えてください。特に気になった内容について、中学レベルの枠を超えてマニアックに知識を掘り下げたエピソードを用意できると良いです。
苦手教科:どのような努力をし、どうやって克服しようとしているのかを答えましょう。
質問16:余暇は何をして過ごしているか
あなたの個性や人となりを知りたいという意図でなされる質問です。
他の質問への回答との整合性がとれる範囲で、ありのままを答えて大丈夫です。
質問17:住んでいる街の魅力をプレゼンして
受験対策として準備したことだけでなく、普段から好奇心をもって情報収集をしているかどうかを確認するための質問です。
質問18:通っている中学校の特色を教えて
特徴的な行事・活動・授業などを紹介しましょう。
それらの活動からどのようなことを学び、それをどのように今後の学びに活かすのかを答えられると良いです。
派生の質問:
校長先生の名前と担任の先生の名前
担任の先生はどんな先生か
質問19:小論文の感想・出来を教えて
- 試験を冷静に振り返り、分析できるか
- 試験の「知らなかったこと」「分からなかったこと」に対する探求心・向上心があるか
を確認するための質問です。
質問20:不合格だったらどうするか
- 志望度の大きさ
- 失敗しても挑戦する前向きな強さ
- 予期せぬ質問に冷静に答えられるか
を確認することを意図しています。
「不合格になった理由を分析したうえで、切り替えて一般入試に挑戦します。」と力強く言い切ってください。
オマケ:逆質問(何か質問はありますか?言っておきたいことはありますか?)
- 「日比谷高校入学までにやっておくべきことを教えて下さい」
- 「日比谷高校で〇〇を実現している人はどんな方か教えて下さい」
といった内容を質問しておくことがオススメです。
④わからないことを質問されたときの対応
知らないことを聞かれたら、
「すみません。知識不足でわかりません。高校入学後に勉強して答えられるようにしたいと思います。」などと素直に、正直に答えましょう。
⑤対策上の注意点
- まずは、よく聞かれる質問20の自分なりの答えを考えてみましょう。
- その場合の目安は、1つの回答につき時間にして15秒、文字にして80字~100字です。長すぎず短すぎずの伝わりやすい回答を考えましょう。
- 「端的な結論+簡潔な説明・具体例・理由」という構成で答えましょう。
例(「中学生活のなかで最も印象に残っていることは?」の回答)
「はい。中学生活のなかで一番印象に残っているのは部活動の都大会でベスト8になったことです。その理由ですが、大会直前にチームのなかで揉め事があり、私が解決にあたった結果チームの結束が深まってこれまでにない良い結果を残せたからです。」
- 回答には「ツッコミどころ」を残しておきましょう。
先ほどの例では「どんな揉め事があったのか」「どうやって解決したのか」「結束が深まったというのは具体的にはどういうことか」などの質問が予想できます。
質問が予想できると、気持ちに余裕が生まれます。
あれもこれも話そうとはせず、ツッコミどころを残すつもりで話しましょう。
- 暗記してきた内容を棒読みすることは避けてください。
- 「準備した通りに答えよう」という意識だと、面接官の質問の意図を正確に理解しにくくなり的はずれな回答をすることになります。まずは面接官の質問の意図を正しく理解することを意識してください。
- 心を込めて話しましょう。
- すべての質問の回答に一貫性があるかどうかを確認しておきましょう。
- すべての回答に具体的なエピソードを準備しておく
- 1つ1つの回答に対して、あらゆる角度からのツッコミが予想されます。それを想定して様々な準備や調査をしておきましょう。
4:面接練習をする際の注意点
- 座り姿勢の練習、入退室の練習、質問に答える練習を繰り返しましょう
- セルフチェックに加え、周囲の人に面接官役をやってもらい、練習してください。
- なるべく多くの人に気づいたことを指摘してもらい、アドバイスを受けましょう。
- 自己PRカードの内容から質問を予測しておきましょう
- 暗記した通りに話そうとして不自然な受け答えにならないようにしましょう。
- 視線が泳いだり、言葉が途切れ途切れになったり、言い間違いでパニックになったりということがないようにしてください。
- 難しい言葉や話し言葉を使わないようにしましょう。
- 想定外の質問に対応する練習をしておきましょう。面接官は想定外の質問であなたを素の状態にしようとしてきます。
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