日比谷高校の教科別メソッド
社会共通問題について
概要
- 50分間、100点満点の問題です
- 1問5点の20問構成です
- 自校作成問題ではなく、他校と同じ入試問題です
- 出題分野は世界地理・日本地理・歴史・公民の4つです
- 知識問題は、世界地理・日本地理・歴史・公民=4:3:5:4くらいの比率です
- 残りの4問は地図や資料の読み取り問題です
- 「地理」「歴史」「公民」の3つの比較であれば、地理の出題が多いと言えます
- 2021年度入試は経済のうち「国民の生活と政府の役割」と「私たちと国際社会の諸課題」の2つが出題範囲から除かれました。その影響で、例年とは異なる出題比率になっています。
1:大問別の問題構成
都立高校入試の社会は大問1~大問6の6問構成です。それぞれの特徴を紹介します。
大問1
- 3問出題されます
- 地理、歴史、公民1題ずつです
- 地理:地図から情報を読み取る問題
- 歴史:文章が述べている語句を選ぶ問題または文章が示している場所を地図から選ぶ問題
- 公民:文章が述べている語句を選ぶ問題
となっています。
それぞれの年ごとの細かい出題内容や対策は後で紹介します。
大問2
- 世界地理の大問です
- 3問出題されます
- 3問とも知識問題であることが多いです
- 世界には196の国がありますが、都立高校入試対策として特徴を覚えておくべき国は40カ国ほどです
- 各国の気候などの自然条件、文化、産業(農業・工業など)、国の規模(人口や経済規模など)、日本とのつながりなどの特徴が出題されます
- それ以外に、地域ごとの特徴を覚えておく必要があります
例:「北アフリカ⇒乾燥帯、イスラム教徒が多い」「中南米:ブラジル以外は昔スペインの植民地だった」 - 資料から数値の増加・減少を読み取り、知識と併せて正解にたどり着く問題がほぼ毎年でます
- まれに時差の計算をする問題が出題されます
大問3
- 日本地理の大問です
- 3問出題されます
- 3問のうち1問は地図の変化を読み取る記述問題であることが多いです
- もう1問も地形図の読み取り問題である年もあります
- つまり、知識問題は1~2問ということです
- 47都道府県の気候などの自然条件、産業、文化、人口分布などの特徴が出題されます
- それ以外に、地域ごとの特徴を覚えておく必要があります
例:「日本海側は冬に降雪が多い」「北海道と九州は火山が多い」
大問4
- 歴史の大問です
- 4問出題されます
- 4問とも知識問題である年が多いです
- 1問は読み取り問題である年もあります
- 知識問題は、人名や出来事名を答える問題ではありません
- 基本的に、文に書かれている内容に該当する時代を選ぶ問題です
- 時代を選んだあと、「その時代と同じ時代のことについて述べている文を選ぶ」「古い順に並び替える」「略年表中の当てはまる場所を選ぶ」のどれかをして正解にたどり着くことができます
- その他に文に書かれている内容と関連が深い場所を地図から選ぶ問題もあります
大問5
- 公民の大問です
- 4問出題されます
- 1問は必ず読み取り問題が出題されます
- 地理・歴史とは異なり、いわゆる基礎事項が素直に出題されます
大問6
- 地理・歴史・公民3分野の総合問題の大問です
- 3問出題されます
- 1問は読み取り問題です
- 以下の特徴を意識して勉強しておくと点がとりやすくなります
- 「地理×歴史」:様々な国の歴史
例:「イギリスの産業革命」「フランスのフランス革命」「アメリカのニューディール政策」 - 「地理×公民」:国際社会の動き、環境問題
例:「EU発足」「国際連盟の本部がある国である」
「この地域は酸性雨の被害を受けた」「温暖化による国土の水没が懸念されている」 - 「歴史×公民」:
①戦後日本経済史 例:「土地と株の値段が急上昇した」「世界的な金融危機の影響を受けた」
②戦後国際関係史 例:「国連環境開発会議が開催された」「ベルリンの壁が崩壊した
2:分野別の出題内容と対策
ここまで、大問別に出題形式、傾向、対策を見てきました。
ここからは、分野別に対策を紹介します。
①世界地理
大問2のところで紹介した通り、各国の気候などの自然条件、文化、産業(農業・工業など)、国の規模(人口や経済規模など)、日本とのつながりなどの特徴や地域ごとの特徴が出題されます。
出題されやすい国・地域のベスト10は
1位:アメリカ合衆国
2位:ブラジル
3位:中国
4位:アフリカ(焼畑農業、人口爆発、トウモロコシや芋が主食、工業化が遅れているなど)
5位:オーストラリア
6位:中東(乾燥帯、イスラム教、石油など)
7位:インド
8位:カナダ
9位:ロシア
10位:アルゼンチン
となっています。
特に重点的に勉強してください。
②日本地理
- 大問3のところで紹介した通り、47都道府県の気候などの自然条件、産業、文化、人口分布などの特徴や地域ごとの特徴が出題されます。
出題されやすい都道府県ベスト10は
1位:静岡県
2位:北海道
3位:愛知県
4位:広島県
5位:福岡県
6位:熊本県
7位:岩手県
8位:宮城県
9位:新潟県
10位:鹿児島県
となっています。
特に重点的に勉強してください。
- 地図や地形図を読み取る問題が出題されます
・地図記号
・実際の距離から地図上の距離を計算する、地図上の距離から実際の距離を計算する
・特定の地名を探す
・地図と写真から海岸線の向きを読み取る
・標高を読み取る(標高線の数値が書かれている箇所を探す)
・特定の建造物が見える方角を読み取る
といったことができるようになる必要があります。
③歴史
- 大問4のところでご紹介したとおり、時代を選んだあと、「その時代と同じ時代のことについて述べている文を選ぶ」「古い順に並び替える」「略年表中の当てはまる場所を選ぶ」問題が出題されます。
- 時代区分は、以下のものがオススメです。
都立高校入試に対応できるように私が作成した区分です。
ですので、一般的な時代区分とは始まりまたは終わりが異なる箇所があります。
ご注意ください。
①1万年前まで:旧石器時代
②1万年前~紀元前4世紀:縄文時代
③紀元前4世紀~3世紀:弥生時代
④3世紀~6世紀:古墳時代
⑤593年頃~710年:飛鳥時代
⑥710年~794年:奈良時代
⑦794年~10世紀前半:平安時代(貴族)
⑧10世紀前半~1185年:平安時代(武士)
⑨1185年~1333年:鎌倉時代
(1333年~1336年:建武の新政)
⑩1336年~1467年:室町時代
⑪1467年~1573年:戦国時代
⑫1573年~1603年:安土桃山時代
⑬1603年~1700年頃:江戸時代(初期)
※1700年頃:元禄文化
⑭1700年頃~1853年頃:江戸時代(改革期)
※1800年頃:化政文化
⑮1853年~1868年:江戸時代(幕末)
⑯1868年~1894年:明示維新期
⑰1894年~1912年:日清・日露戦争期
⑱1912年~1926年:大正時代(第一次世界大戦期)
⑲1926年~1945年:第二次世界大戦期
⑳1945年~1956年:戦後復興期
㉑1956年~1973年:高度経済成長期
㉒1973年~1986年:安定成長期
㉓1986年~1991年:バブル経済期
㉔1991年~2016年:低成長期
(Vもぎではこの時代の出来事を90年代、00年代、10年代と分けておく必要がある)
これが都立高校入試の歴史に強くなるための時代区分です。
すべての出来事・人名などをこれらに当てはめて覚えていけば点がとりやすくなります。
- 主な出来事が現在のどの都道府県でおきたのか、また世界遺産がどの都道府県にあるのかといったことを覚えておきましょう
例:「壇ノ浦の戦い⇒山口県」「富岡製糸場⇒群馬県」「『天下の台所』⇒大阪府」
④公民
- 日本国憲法
- 人権
- 政治参加
- 国会・内閣・裁判所
- 地方自治
- 公共料金
- 税金
- 社会保障
- 公害と環境問題
といった分野からの出題が目立ちます。
⑤資料、地図の読み取り
- 数値の変化:(例)「〇〇が3倍以上に増加した」「経済成長率が上昇した」
- 地図上の変化:(例)「畑が住宅地になった」
- グラフ上の変化:(例)「特定の年にしか発生していなかったのが毎年少しずつ発生するようになった」「国内総生産が大幅に上昇した年がある」「人口が一貫して上昇し続けている」
こういった変化を読み取る必要がある問題が出題されます。
3:日比谷高校受験生の平均点から考える勉強方針
日比谷高校入試において、社会は自校作成問題ではなく他の都立高校と同じ問題が出題されます。
そこで、自校作成問題である国語・数学・英語に比べて平均点が高いです。
年にもよりますが、平均点は85点前後になります。
つまり、90点をとることができれば手強いライバルばかりの日比谷高校入試といえども有利な状況を実現できるということです。
他に平均点を大きく上回る見込みの科目がない場合は、社会で90点を目指しましょう。
- 国の特徴
- 県の特徴
- 時代の特徴
- 公民の基礎事項
の暗記はもちろんですが、
地図、グラフ、表の変化を読み取って記述する問題など都立高校入試特有の形式に慣れておく必要があります。
演習を通して「どのような知識を覚えておく必要があるのか」を実際に確認しながら暗記事項の定着を図っていきましょう。
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