この記事では、2021年2月に行われた都立高校入試の理科を解説します。
この記事を使って、都立高校入試対策における
・計算問題の対策
・記述問題の対策
・知識の抜け漏れの確認
をしてもらえればと思います。
特に、日比谷高校をはじめとする自校作成問題校の受験では理科・社会は自校作成問題ではなく共通問題を使うため90点以上をとっておきたいです。
そのためには、問題演習⇒復習⇒弱点強化⇒問題演習⇒・・・のサイクルが最も重要となります。
では、解説にはいります。
大問1
問1
ヒトの消化器官について、図のイラストと機能を正しく組み合わせる問題です。
図1のA~Dについて、名称と機能を整理しておきましょう。
名称 | 機能 | |
A | 胃 | 胃液に含まれるペプシンでタンパク質を分解する |
B | 小腸 | デンプン・タンパク質の消化と栄養分の吸収を行う |
C | 肝臓 | ①脂肪を消化する胆汁をつくる ②アンモニアから尿素をつくる ③血液中の糖の量を調節する |
D | 腎臓 | ①血液から尿素などの不要物を取り除く ②血液中の水分や塩分の排出を行って塩分濃度を一定に保つ |
以上から、
・吸収:B
・アンモニアを尿素に変える:C
となり答えはウです。
問2
音波の形状と音の性質に関する問題です。
以下のように整理しておきましょう。
大きい・多い | 小さい・少ない | |
振幅 | 音が大きい | 音が小さい |
振動数 | 高音 音波の山の数が多くなる=周期が短くなる | 低音 音波の山の数が少なくなる=周期が長くなる |
音波の形状と音の性質の関係はこのようになっています。
正確に覚えておきましょう。
この問題では、「高くて大きい」となっているので、
・振幅:大きい⇒Bが大きくなる
・振動数:多い⇒周期が短い⇒Aが短くなる
となります。
よって、答えはアです。
問3
いきなりですが、
初期微動継続時間は震源からの距離に比例して長くなる
ことを使う問題です。
この問題では、
A地点 | 問題となっている地点 | |
震源からの距離 | 36㎞ | 90㎞ |
初期微動継続時間 | 2秒間 | ?秒間 |
となっています。
よって、36:90=2:X
とおくことができます。
36X=180
6X=30
X=5
です。
初期微動継続時間は5秒間であることがわかりました。
初期微動が始まった時間は10時10分27秒とありますので、初期微動が終わって主要動がはじまるのはその5秒後である10時10分32秒、エです。
問4
①
酸とアルカリの実験に関する手順を問う問題です。
電気分解のような状況を作り出して、水素イオンや水酸化物イオンを移動させてリトマス紙の色の変化を観察します。
この実験において、溶液Aを染み込ませたろ紙を置きます。
溶液Aは、どのような条件を満たす溶液でしょうか?
以下の2つの条件です。
・中性の水溶液である
・電流が流れる水溶液である(電解質の水溶液である)
まず、中性でなくてはならない理由は、この実験が酸とアルカリの実験だからです。
青色リトマス紙の中央に薄い塩酸と薄い水酸化ナトリウム水溶液を少量つけています。
それに加えて酸性もしくはアルカリ性の水溶液をろ紙に染み込ませてしまうと、何が原因で青色リトマス紙の色が変化したのかがわかりにくくなってしまいます。
そこで、中性の水溶液を用います。
また、電解質でなくてはならない理由ですが、この実験では電源装置が用意されていることからもわかる通り電流を流す必要があります。
ということは、溶液Aは電解質の水溶液である必要があります。
電解質でない、つまり非電解質の水溶液ですと電流が流れず実験が上手くいきません。
というわけで、
・中性
・電解質
の2つの条件を満たす水溶液を答えます。
電解質の代表例:水酸化ナトリウム(食塩)
非電解質の代表例:砂糖、エタノール
※精製水(蒸留水)は電流を通さない
これが今回のポイントです。
この知識があれば、ア・イ・エは電気を通さない水溶液であり選んではいけないと判断することができるわけです。
ということで、正解はウです。
②
青色リトマス紙を赤色の変色させるのは酸性の水溶液です。
そして、酸性の水溶液に含まれているのは水素イオンです。
よって、正解はアになります。
指示薬と色の変化は頻出事項なので整理しておきましょう。
指示薬/水溶液の性質 | 酸性 | 中性 | アルカリ性 |
赤色リトマス紙 | 変化なし | 変化なし | 青色 |
青色リトマス紙 | 赤色 | 変化なし | 変化なし |
BTB溶液 | 黄色 | 緑色 | 青色 |
フェノールフタレイン溶液 | 無色 | 無色 | 赤色 |
問5
・しわのある種子の個体(など、潜性形質をもつ個体)の遺伝子:aa
・丸い種子の個体(など、顕性形質をもつ個体)の遺伝子:AAまたはAa
と表現することができます。
①AA×aa(AAとaaをかけ合わせた場合)
A | A | |
a | Aa | Aa |
a | Aa | Aa |
となり、すべての個体が丸い種子となります。
②Aa×aa(Aaとaaをかけ合わせた場合)
A | a | |
a | Aa | aa |
a | Aa | aa |
となり、丸い種子としわのある種子が1:1の比率で生じます。
今回の問題では「かけ合わせた得られた種子は丸い種子としわのある種子であった」とあるので、②のかけ合わせであったことがわかります。
よって、答えはエです。
問6
言葉の定義を正確に理解しているかどうかを問う問題です。
まずは「力のつり合い」から。
力がつり合っているとは、
①1つの物体に2つの力がはたらいている
②2つの力が同じ大きさである
③2つの力の向きが正反対である
の3つの条件を満たしている状態のこと。
このように理解し、暗記しておいてください。
この問題では、
A:「物体を」⇒物体に対してはたらいている
B:「物体に」⇒物体に対してはたらいている
C:「机を」⇒机に対してはたらいている
となりますので
1つの物体にはたらいている2つの力とはAとBです。
続いて「作用・反作用」についてみていきましょう。
作用・反作用の関係とは、
①2つの異なる物体にそれぞれ力がはたらいている
②2つの力が同じ大きさである
③2つの力の向きが正反対である
の3つの条件を満たしている関係のこと。
A:「物体を」⇒物体に対してはたらいている
B:「物体に」⇒物体に対してはたらいている
C:「机を」⇒机に対してはたらいている
ですので、AとBを作用・反作用のペアにすることはできません。
また、BとCは同じ向きを向いているのでこれも作用・反作用のペアにすることはできません。
よって、作用・反作用の関係にあるのはAとCであることになります。
以上より、イが正解です。
大問2
問1
生物の分類の問題です。
主な生物の分類について、知識を正確に整理しておきましょう。
特徴 | 具体例 | |||
セキツイ動物 | 背骨を中心としたない骨格がある | イワシ、カエル、トカゲ | ||
無セキツイ 動物 | 節足動物 | 昆虫類 | からだに外骨格と節がある からだが頭・胸・腹にわかれている | バッタ、チョウ |
無セキツイ 動物 | 節足動物 | 甲殻類 | からだに外骨格と節がある | エビ、カニ |
無セキツイ 動物 | 軟体動物 | イカ・タコ | からだは外とう膜におおわれている からだに節はない | イカ、タコ |
無セキツイ 動物 | 軟体動物 | 二枚貝 | 外側は殻で守られていて、その内側に外とう膜がある | アサリ |
これを使うと、セキツイ動物はA、軟体動物はCとDであることがわかります。
問2
速さは、移動距離÷時間で求めます。
この問題では、0.4秒後から0.6秒後までの平均の速さなので時間は0.6ー0.4=0.2秒です。
移動距離は図1から読み取ります。
一番左の図では、おもちゃの自動車の先端が左から2番目の目盛りの上にあります。
一番右の図では、おもちゃの自動車の先端は左から9番目の目盛りの上にあります。
よって、7目盛分移動しているので移動距離は7×5=35㎝です。
距離と時間がわかりましたので、速さを求めることができます。
ここで、選択肢の単位に注目してください。
㎞/hとあります。
つまり、1時間に何キロメートル移動するのかを問われています。
問われている単位に合わせて計算をしなければなりません。
0.2秒間に35㎝移動しますので、1秒間には175㎝移動します。(時間と距離を5倍しました。)
1分間は60秒ですので、1分間では10,500㎝移動します。
1時間は60分ですので、1時間では630,000㎝移動します。
1mは100㎝ですので、これは6,300mです。
1㎞は1000mですので、これは6.3㎞です。
よって、1時間に6.3㎞移動します。
答えはウです。
問3
この問題は密度の問題ですが、前提として必要となる知識があります。
それは、
水1㎤の重さは1gである
ということです。
この知識があると、水50㎤に食塩15gを加えた食塩水の重さが65gであることがわかります。
この食塩水の体積は55㎤であると明言されているため、密度を計算することができます。
この食塩水の密度(g/㎤):65÷55≒1.18です。
これより密度が大きい物質を入れると沈み、密度が小さい物質を入れると浮きます。
表2の物質では、ポリエチレンテレフタレートのみ食塩水に沈みますがほかの3種類の物質は食塩水に浮きます。・・・①
では、ラベルはこれら3種類のどの物質からできているのでしょうか。
レポート3には、「ラベルは水に沈み、」と書いてあります。
水に沈んだということは、密度は1g/㎤を超えているはずです。
ということは、ポリエチレンとポリプロピレンではありません。・・・②
①②より、問3の答えはイのポリスチレンであることがわかります。
問4
1月15日⇒2月15日と、1か月単位の話をしていますので、天体の年周運動についての問題であることがわかります。
年周運動については、
星が同じ位置に見える時刻は、1か月に2時間早くなる
同じ時刻に見える星の位置は、1か月に30度西へ移動する
この2つを正確に覚えておきましょう。
今回の問題では
1月15日・2月15日に「真南でオリオン座が見える」時刻を質問されていますので
「星が同じ位置に見える時刻は、1か月に2時間早くなる」のルールを使います。
午後10時より2時間早くなるので、午後8時になります。
答えはエです。
大問3
問1
湿度に関する問題です。
この問題で覚えておいてほしいことは、
湿度が同じであれば、気温が高いほど空気中の水蒸気の量は多い(=露点が高い)
ということです。
気温が高い空気のほうがたくさんの水蒸気を含むことができるので、この関係が成り立ちます。
図1を参照してa、b、cの気温を比べるとa>b>cとなっています。
よって、空気中の水蒸気量はA>B>Cです。
これと同じ関係を表しているのはエです。(C<B<Aと表現されているので少しわかりにくいですが。)
これと似たような性質に、
露点が同じであれば、気温が高いほど湿度が低い
というものがあります。
併せて覚えておきましょう。
問2
①
3月31日の天気記号は、「晴れ」です。〇(快晴)に少しだけ雲がかかっている様子を、直線(|)で表してると思われます。
②
矢羽根の向きは風向を表しています。
3月31日は南の方角に矢羽根がついているので南向きの風が吹いていたと判断できます。
③
図1によると、日が昇るとともに(6時頃から)上がり始め、昼過ぎ(15時頃)に最も高くなるのは気温です。
以上から、問2の答えはイ、ウ、アです。
問3
①
4月1日の15時~18時における変化を図1から読み取ります。
気温が5℃近く下がり、風向きが北東に変化しているのがわかります。雨も降り始めていますね。
ということで、①の答えはウです。
②
高気圧の中心付近での空気の流れについてです。
空気は水と同じく、高いところから低いところに向かって流れると覚えておいてください。
そうすると、高気圧では
・高気圧のある上空から地上へ
・高気圧の中心から周辺へ
空気が流れることが「想像」できると思います。
②の答えはエです。
問4
季節ごとの日本上空の気圧配置について答える問題です。
季節 | 気圧配置の特徴 |
春 | 東西に高気圧と低気圧が交互に並び、天気が変化しやすい |
梅雨 | 日本列島上空に、梅雨前線という距離の長い停滞前線がある |
夏 | 日本の北に低気圧が、南に大きな高気圧が存在している |
秋 | 東西に高気圧と低気圧が交互に並び、天気が変化しやすい |
冬 | 日本の北西に大きな高気圧が、北東に低気圧がある。また、日本上空の等圧線の向きが縦(南北方向)になる |
という特徴があります。
これに沿って並び替えてみましょう。
ア⇒ウ⇒エ⇒イ
となります。
大問4
問1
図1のA(三日月形の細胞)気孔であり、酸素や二酸化炭素、水蒸気の出入り口となっています。
図1のB(緑色の粒)は葉緑体であり、光合成をおこなって水と二酸化炭素からデンプンなどのエネルギーと酸素をつくります。
以上から、正解はアです。
問2
①
光合成のはたらきをしらべる実験の手順についての問題です。
光合成のはたらきを調べる実験では、実験開始後に光合成で植物の葉にデンプンがつくられたかどうかを調べます。
そのため、実験開始前は植物の葉にデンプンがない状態にしておきたいです。
したがって、暗室に植物を長時間放置します。
そうすることでデンプンをすべて消費させて実験を開始するタイミングでは葉にデンプンがない状態を実現します。
よって、正解はウです。
②
葉C~Fの状況を比較して、どの葉を比較すれば「光合成には二酸化炭素が必要である」ことがわかるかを判断させる問題です。
葉C~Fの状況と光合成が行われたかどうかを次の表にまとめました。
光 | 二酸化炭素 | 結果 | |
葉C | あたる | ある | 光合成が行われた |
葉D | あたらない (アルミニウムはくで覆われている) | ある | 光合成が行われなかった |
葉E | あたる | ない (水酸化ナトリウム水溶液に吸収される) | 光合成が行われなかった |
葉F | あたらない (アルミニウムはくで覆われている) | ない (水酸化ナトリウム水溶液に吸収される) | 光合成が行われなかった |
というふうになります。
光合成には二酸化炭素が必要であることを確かめるには、光合成が行えたパターン(成功パターン)が必要です。
つまり、葉Cは絶対に必要です。
また、「二酸化炭素が必要である」とするためには「二酸化炭素の有無」以外は葉Cと同じ条件である葉と比べる必要があります。
それは、葉Eです。
よって、②の答えはイです。
ちなみに、葉Cと葉Dを比較すると「光合成には光が必要である」ことがわかります。
(葉Cと葉Dは、光の有無以外の条件が同じ)
葉Cと葉Fを比較しても何もわかりません。
葉Cと葉Fは光の有無も二酸化炭素の有無も異なるからです。
問3
①
結果3の数値を比べて考えます。
袋H:実験後に二酸化炭素の割合が増えている⇒光合成により二酸化炭素が酸素になっているが、それを上回るペースで呼吸により酸素が二酸化炭素になっている
袋I:実験後に二酸化炭素の割合が減っている⇒呼吸により酸素が二酸化炭素になっているが、それを上回るペースで光合成により二酸化炭素が酸素になっている
とわかります。
よって、正解はイです。
②
袋H、袋Iともに中に入っている葉の枚数・大きさは同じなのでどちらも呼吸のペースは同じであると考えます。
すると、袋Iのほうが光合成が活発であると考えられます。
よって、正解はイです。
大問5
問1
①
炭酸水素ナトリウムを分解する実験の手順に関する問題です。
炭酸水素ナトリウムを分解する実験には、
ガラス管を水槽の中から取り出したあとに加熱をやめる⇒水が試験管の中に逆流しないようにするため
という注意点があります。
よって、正解はエです。
また、炭酸水素ナトリウムを分解する実験には
試験管の底を少し上げる⇒発生した水が加熱部分に流れて試験管が割れないようにするため
という注意点もあります。
こちらも覚えておきましょう。
②
炭酸水素ナトリウムを分解する実験では、
炭酸水素ナトリウムから二酸化炭素と水と炭酸ナトリウムが発生します。
炭酸水素ナトリウムは固体で、二酸化炭素は気体、水は液体で炭酸ナトリウムは白色の固体です。
炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムは名前が似ていますし、固体どうしですので性質を比較されることが多いです。
炭酸水素ナトリウム | 炭酸ナトリウム | |
水に溶けるかどうか | 少し溶ける | よく溶ける |
フェノールフタレイン溶液を加えた際の反応 | うすい赤色 ⇒弱いアルカリ性 | 濃い赤色 ⇒強いアルカリ性 ⇒pHの値が大きい |
という比較です。
よって、正解はイです。
問2
①
既に問1の解説でも触れたように、この実験は炭酸水素ナトリウムを「分解」する実験です。
これと同じ種類の化学変化、つまり「分解」を選びます。
ア:酸化銀を加熱する
酸化銀を加熱すると銀と酸素に「分解」されます。これが正解です。
イ:マグネシウムを加熱する
マグネシウムを加熱すると酸化マグネシウムができあがります。これは化合または酸化です。
ウ:鉄と硫黄の混合物を加熱する
鉄と硫黄の混合物を加熱すると硫化鉄ができあがります。これは化合または硫化です。
エ:鉄粉と活性炭の混合物に食塩水を数滴加える
これはカイロのなかでおこっている化学変化です。鉄が酸化鉄になり、熱が発生します。
鉄が酸化鉄になるのは化合または酸化です。
②
炭酸水素ナトリウムを分解すると、二酸化炭素と水が発生します。
そして、それらはCO2またはH2Oと表現されるため「〇◎◎」「●●◎」のうち、どちらにも含まれている「◎」が酸素であることがwかります。
また、◎の数から、「〇◎◎」がCO2で「●●◎」がH2Oであると判断できます。
つまり、〇は炭素原子で、●は水素原子であるといえます。
ナトリウム原子は、二酸化炭素と水どちらにも入っていません。
ということは、ナトリウム原子は◎でも〇でも●でもありません。
残る選択肢はエの■です。
問3
結果2の情報から、加えた炭酸水素ナトリウムの質量と発生する気体の質量を計算する問題です。
結果2によると、79.50gの薄い塩酸に炭酸水素ナトリウムを0.50g入れたあとに質量を計ると79.74gになるそうです。
79.50+0.50=80.0ですから、0.26g足りません。
どこへ消えたのでしょうか?
これが気体の発生量です。
図3のビーカーにふたをしてないため、発生した気体が空気中に逃げてしまいます。
その分、反応後の質量が軽くなっているというわけです。
炭酸水素ナトリウムの質量と気体の発生量を一覧表にまとめます。
炭酸水素ナトリウムの質量(g) | 0.5 | 1.0 | 1.5 | 2.0 | 2.5 | 3.0 |
発生した気体の質量(g) | 0.26 | 0.52 | 0.78 | 1.04 | 1.17 | 1.17 |
となりました。
炭酸水素ナトリウムの質量が2.5gになるまでは発生した気体の質量が増えていますがその後は一定となり増えていないことがわかります。
この状態をグラフにしたものを選びます。
ポイントは
・グラフに横ばいになっている部分がある
・横ばいになっているときに発生した気体の質量は1.17g(1.0と1.25では、1.25のほうに近い)
ということです。
これを基に正解を選ぶと、ウになります。
問4
問3の結果を使います。
0.65gの気体が発生したということは、4gのベーキングパウダーに含まれる炭酸水素ナトリウムの質量は1.0g以上1.5g以下であることがわかります。
具体的に計算をします。
4gのベーキングパウダーに含まれる炭酸水素ナトリウムの質量をXgとすると、
1.0:0.52=X:0.65
と表すことができます。
0.52x=0.65
x=1.25
です。
4gのベーキングパウダーには1.25gの炭酸水素ナトリウムが含まれていることがわかりました。
これは
1.25÷4=0.3125
なので、31.25%です。
この問題には「少数第一位を四捨五入して整数で答えよ」とありますので、答えは31%となります。
大問6
問1
電気は+からーへ流れるので、このコイルに右ねじの法則を適用するとコイルの内側の次回は手前から奥に向かっていることがわかる。
よって、コイルのなかの方位磁針は奥のほうに向かっている。
また、コイルの内側と外側では磁界の向きは逆向きになるのでコイルの上部に置かれた方位磁針は手前に向かう。
以上より、答えはアです。
この問題のポイントは、
まっすぐな導線に電流を流した場合、右手の親指が電流の向きを、他の4本の指が磁界の向きを表す(右ねじの法則)
です。
これと似たものに「右手の法則」があります。
こちらは、まっすぐな導線ではなくコイルに使います。
コイルがつくる磁界では、右手の親指以外の4本の指先を電流の向きに合わせてコイルを握ると親指の向きがコイルの内側の磁界の向きとなる(右手の法則)
とてもよく似た法則です。
まっすぐな導線の場合とコイルの場合で、使う法則を区別してください。
問2
コイルAで電磁誘導がおきる理由を答える問題です。
「コイルAの中の磁界が変化するから」
が答えです。
電磁誘導がおきる理由=誘導電流が発生する理由の答えは、都立高校入試理科の記述問題で頻出です。
2021年に出題されたのでさすがに2022年に記述問題として出題されないとは思いますが要注意です。
問3
コイルBが速く回転するつなぎ方の順に並べる=抵抗を1つ加えた際の合成抵抗が小さい順に並べるということです。
合成抵抗の求め方
①直列につないだ場合:そのまま足し算する
②並列につないだ場合:それぞれの抵抗値の逆数の合計が合成抵抗の逆数と等しい
という性質を利用します。
ア:5Ωを直列につなぐ
20+5=25Ω
イ:5Ωを並列につなぐ
1/20+1/5=1/X
1/20+1/5=1/4
X=4Ω
ウ:10Ωを直列につなぐ
20+10=30Ω
エ:10Ωを並列につなぐ
1/20+1/10=1/X
1/20+1/10=3/20
X=20/3≒6.666・・・
以上より、合成抵抗の小さい順に並び替えると
イ⇒エ⇒ア⇒ウ
となる。
問4
モーターをつくる実験において、モーターができる(コイルが回る)原理を理解しているかどうかを問う問題です。
①
図6について、「電流をeからfに流すとき、a⇒b⇒c⇒dの向きに電流が流れる」とあります。
図8・図9でもeが+、fがーとなっていて電流の向きは変わりません。
よって、アのc⇒dが正解です。
②
フレミングの左手の法則を使います。
中指をc⇒dの方向に合わせると、電流が磁界から受ける力の向きを表す親指はJの方向を向きます。
よって、アが正解です。
③
コイルBのab部分が下になるとき、エナメルが残っている部分が磁石のほうを向きます。
このとき、エナメルの効果で磁力を受け付けなくなるため、コイルのab部分に電流は流れなくなります。
よって、正解はウ。
④
電流が流れなくなるので、磁界からの力も受けなくなります。
よって、正解はウです。
以上が2021年2月に実施された都立高校一般入試の理科の解説です。
様々なジャンルにおいて、知識や考える力、計算力が試されていることがわかると思います。
一つでも多くのことを身につけて都立高校入試本番に臨んでください。