都立日比谷高校 自校作成問題・国語 2024年度入試(令和6年度入試)大問5解説

都立日比谷高校 自校作成問題・国語 2024年度入試(令和6年度入試)大問5 解説

この記事では、2024年2月に行われた日比谷高校一般入試の国語大問5(鑑賞文)を解説します。
日比谷高校の一般入試では、国語や数学、英語は自校作成問題での試験が行われます。
自校作成問題はその学校を受験しにくる生徒のレベルに合わせた難易度となります。
したがって、日比谷高校の自校作成問題は都立の共通問題や他校の自校作成問題と比べても難しい問題であることが多いです。

この記事は、日比谷高校の自校作成問題を対策するにあたって
「本文をどのように読み進めていけばいいのか」
「どのような手順で選択肢を選んでいけばいいのか」
「記述問題を書くとき、どのような思考回路で書く内容を決めればいいのか」
といったことを知りたい人向けに書きました。
ですので、この記事を読んでもらえれば上記のことを過去問解説を通して理解していただけます。

その際、

事前に自力で問題を解いてからこの解説記事を読む

ことを強くオススメします。

ここで解説している国語の問題・答案用紙・解答は日比谷高校のホームページから入手することができます。

なお、事前に星進会の「教科別日比谷高校合格メソッド・国語」を読んでいただくと以下の解説への理解度が高まると思います。


では、解説を始めます。

本文

鑑賞文では、古典の作品で描写された昔の人の心情を読み取ることが重要です。
したがって、心情語に注目していくことになります。
これは大問3の物語文と同じですね。

第1段落

大伴家持の和歌が一首紹介されています。

今回は和歌の鑑賞文であると分かります。

この和歌の中身については、後続の段落で解説がありますので読まなくてもOKです。

第2段落

AというよりB

・AとBの対比構造
・筆者はBを強調している
ということが分かります。

ここでは、
「朗々たる月の清らかな光」⇔「翳りがある風光」(こちらが重要)
ということです。

第3段落

心の奥深いところ=いいしれぬ深層の心

言い換え表現には注目しましょう。

同じ意味の言葉が言い換えられて複数回登場するということは、その言葉が重要であることを示しています。

第4段落

心の深層

これは第3段落で「心の奥深いところ」「いいしれぬ深層の心」と言い換えられていたものです。
第4段落でも再度言い換えられていますね。
それだけ重要であると判断できます。

~にちがいない

筆者の主張があることを示す文末です。

ここでは、
・花は心の深層を証す
という主張がなされています。

この文章のメインテーマが「花」であることが分かります。

同じ

「同じ」という言葉は「A=B」という関係を示します。

ここでは、
近代の人間=万葉人
ということです。
ちなみに共通点は、この段落で主張されている「花が心の深層を証す」です。

第5段落

Aだけではない。B。

先ほど紹介した「AというよりB」と同じ構造になります。

よって、「花はある意味をいつも持っている」が大事であることが分かります。

たとえば

具体例が紹介されます。

ここでは、
・桃=若い女性の比喩
という花が持つ意味の具体例が紹介されています。

第6段落

引き続き桃の例について話しています。

桃の花=美女
桃=都
という意味が紹介されています。

第7段落

花は表象としての意味をもっている

これはここまでなされてきた主張の言い換えですね。

そうではない

「ではない」などの否定語は対比構造をつくります。
ここでは、「教養人」⇔「庶民」(一般人)という対比を考えます。

一部教養人のものではない⇒庶民のものでもあった

ということがわかります。

第8段落

庶民の具体例として東国の農民が登場しています。

ヒルガオ=思慕の心(人を恋する姿)/神に仕える女性

という花の持つ意味が紹介されます。

第9段落

花のことばの響きに敏感であったことが紹介されています。

第10段落

卯の花=厭し=うし

という花が持つ意味を紹介しています。

第11段落

別の具体例の紹介です。

三枝=幸く

第12段落

三枝=幸き草

第11段落の具体例への言及が続いています。

第13段落

さらに別の具体例、百合が登場します。

第14段落

第13段落で登場した具体例の解説です。

百合=「後で」

第15段落

これまでに登場した具体例(花の言葉の響きに敏感であった具体例)が再登場しています。
百合=「後」
卯の花=「厭」
三枝=「幸き草」

もちろん+しかし+主張

これは読解の大事な公式です。

ここでは、「花がことばとして存在していた」という主張になります。

第16段落

さらに別の例が紹介されています。

オミナヘシ=女

ということです。

第17段落

第16段落で紹介された具体例の説明が続きます。

オミナヘシ=女性

第18段落

第16・17段落の具体例の説明が続きます。

オミナヘシは女性と切り離せないとのことです。

そして、花はことばとして美しく存在していたという第15段落で述べた主張を言い換えて文章が終わっています。

設問

問1

~だけではない。およそ花というのは・・・
の「およそ」と同じ意味のものを選ぶ問題です。

もちろん、知っていればすぐ解くことができます。
しかし、読解で解くこともできるようになっています。

「ではない」が対比構造をつくることに注目して、
「~だけ」(特定)⇔「他も」(一般論)
と考えます。

すると、

ア:およそ=概算
イ:およそ=大体
ウ:およそ~ない=まったく~ない
エ:およそ=概して、一般に

となるのでエが正解と分かります。

問2

第4段落の主張
・花は心の深層を証す
の理解を問う問題です。

ア:「愛する人への思いと美しい花」⇒×(意味を限定しすぎ)
イ:「一輪の花」⇒×(一輪とは書いていない)
ウ:◯
エ:「翳りのある風景」⇒×(限定しすぎ)

問3

まなこをとじるように花びらをとじる
とあります。

「まなこ」は「眼」と書きますので、「まなこをとじる」は眼を閉じることつまり寝ることだと分かります。

よって、和歌から「恋ひてか寝らむ」を抜き出します。

問4

第15段落でなされた主張
「花はことばとして存在した」
の理解を問う問題です。

ア:「華やか」「晴れやか」⇒×
イ:◯
ウ:「宛字によって美しく装飾」⇒×
エ:「常に女性のイメージ」⇒×

問5

本文全体の表現・内容に関する問題です。

ア:「桃=都ということを多くの農民も知っていた」⇒×(農民たちへの言及があるのはヒルガオ)
イ:「鶯の~の和歌が女性の感情を表現している」⇒×(鶯の和歌に関して、男女の言及はない)
ウ:◯
エ:「当時の花ことば」⇒×(花ことばは今日のものとして紹介されている)

今回の解説は以上です。
最後までご覧いただきありがとうございました。

その他の大問の解説はこちらです。

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