都立日比谷高校 自校作成問題・国語 2020年度入試(令和2年度入試)大問3解説

この記事では、2020年2月に行われた日比谷高校一般入試の国語大問3(小説、物語文)を解説します。
日比谷高校の一般入試では、国語や数学、英語は自校作成問題での試験が行われます。
自校作成問題はその学校を受験しにくる生徒のレベルに合わせた難易度となります。
したがって、日比谷高校の自校作成問題は都立の共通問題や他校の自校作成問題と比べても難しい問題であることが多いです。

この記事は、日比谷高校の自校作成問題を対策するにあたって
「本文をどのように読み進めていけばいいのか」
「どのような手順で選択肢を選んでいけばいいのか」
「記述問題を書くとき、どのような思考回路で書く内容を決めればいいのか」
といったことを知りたい人向けに書きました。
ですので、この記事を読んでもらえれば上記のことを過去問解説を通して理解していただけます。

その際、

事前に自力で問題を解いてからこの解説記事を読む

ことを強くオススメします。

では、解説を始めます。

Contents

本文解説

今回の本文は、
・登場する人物は朋樹と戸川(とヨシエ)
・場面転換がある⇒場面の変わり目は心情の変わり目でもある⇒要注意
・場面は、①自然博物館②崖(午前)③崖(午後)となっている。
・「夏」の情景描写が多め:「この夏一番の暑さ」「やかましいセミの声」など⇒誰のどのような心情を表しているのかを考える
といった概要になっています。

こうした読解手法は日比谷高校の自校作成問題に固有のものではなく、小説の読解全般に役に立ちます。
併願校でも小説が出題される場合は、そちらの対策にもなります。

前文

登場人物の、特に主人公の心情に関する手掛かりがないかどうか注意して読みます。
すると、
・「思い悩み」:主人公が受験に関してさまざまに思い悩んでいることがわかります。
また、それが原因で気分転換をしようと考えて祖父母の家に一人で来ている、という状況です。

今回与えられている文章を最後まで読まないと分からないのですが、
・主人公はこの土地の人間ではない
・祖父はこの土地の人間である
ということが後の展開に影響してきます。
(初読の段階では、ここまで読み取らなくてOKです。)

捨て置かれたパネル

捨て置かれたパネル
⇒それと戸川の姿が重なる(戸川はこの自然博物館の元館長)
⇒この時点では戸川さんに対しては少なくとも良い印象を抱いてはいないことが読み取れる

古くて面白みのない博物館

「古くて面白みのない博物館」
⇒朋樹の博物館に対する評価
⇒「なんでこの古くて面白みのない博物館が大切なのか?(戸川は大切にしているのか?)」
=朋樹はそういった疑問をもっている
⇒ヨシエはそんな朋樹の評価(本音)を見透かしている

息をのんだ/思わず声に出した/静かに息をついた

息をのんだ
⇒「古くて面白みがない」という評価が覆ったことがわかる
(「息をのむ」は驚きや緊張を表す)
⇒朋樹の本音を見透かしているヨシエは、いたずらっぽく発言
⇒「よそみしてるから…」
「から」は因果関係/条件を示す。
条件は「よそ見をしている」
⇒結果にはヨシエは言及していないが、「標本に触ったりするのはダメ」をヒントにして考えると「棚の引き出しを開けて、標本を覗いてみてごらん。(でも、触らないでね。)」等の内容が考えられる。

思わず声に出した
⇒驚きの心情を表す
⇒「もはや茶色くなったカード」という描写から、カードが昔のものであることを読み取り、「そんなに昔のものもあるなんて」、という心情の理解につなげるとよい。
また、直前に「何十年も」という表現があるのも、この心情理解のヒントとなる。
※「つまり」の直後には、筆者が注目してほしい情報がくるので、「つまり」の直後の「いろんな場所で」「いろんな人が」「何十年も」はこの後も重要な情報として機能することが予測できる。

静謐=静かで落ち着いているさま
⇒静かに息をつく
⇒「いったいいくつあるのだろう」
=いくつあるのかわからない
⇒「いろんな場所で」「いろんな人が」「何十年も」かけて集めてきた大量のアンモナイトの標本への静かな驚き
⇒ヨシエも朋樹のそういった心情に合わせるかのようにしんみりした口調になる
⇒「大勢の学者さんが」は、「いろんな人が」の言い換え表現である
⇒言い換えられているということは、これは大事なことである
(これ=アンモナイトの化石の研究や発掘には、これまでにたくさんの人が関わってきていること)

この夏一番の暑さ

情景描写から何かを読み取る
・ぐんぐん気温が上がっている
・今日はこの夏一番の暑さになりそう
⇒「何かが起こりそうだな」くらいに思っておけばOK(何も読み取らずに読み進めてもOKです)

川を渡る冷たさがいつもより心地よい
⇒この日の暑さが伝わってきます。文章だけで暑さを伝えるのは至難の業です。
「暑い」を連呼するのは、小説としては粋ではないですからね。
川の冷たさ、心地よさを描写してこの日の暑さを描写しています。

何か言いたげな戸川さん

「言ってません」
「もう来ません」
「東京に帰ります」
⇒朋樹のこれらの発言のうち、どれに対して「なにか言いたげ」だったのかは不明
⇒憶測で進めるのも危険なので、特定せず読み進めることにする

今日中にケリをつけよう

「ケリをつける」とは、問題を解決させるということです。
朋樹は何にケリをつけたいのでしょうか。

この文章で朋樹がケリをつける必要がありそうなこと一覧
①化石を発見する
②(ダム賛成派だった)町長やうちのじいちゃんに起こっていないのか戸川さんに訊く
③なぜダム建設反対に回ったのかを戸川さんに訊く
④(そもそも、北海道に来た目的である)受験に関しての思い悩みにケリをつける
このどれか、あるいは複数、すべてです。
ちなみに、ここまでの時点では②③は出てきません。
ここまで読んでいて予想できるのは①④だけです。
したがって、ここでは①だけでなく④も予想して読み進められたらいいですね。

このあと、これらすべてにケリがついていきます。

この件について戸川の口から聞きたい

「この件」という指示語が何を指すのかを具体化します
⇒「聞きたかった」
⇒「聞く」(つまりask)ということは質問の形をとる
⇒質問①「町長とじいちゃん、つまりダム建設賛成派にもう怒ってないのか」
 質問②「なぜ戸川さんはダム建設反対に回ったのか」

戸川の解答
①:「怒っていない。ダムは富美別の存続や町の人々の暮らしに必要だったから。」
②:「ダムを建設することで水没した地層の時代のアンモナイトに申し訳が立たないと思ったから。」
  「また、環境アセスメントがその影響を、『限定的』と、過小に評価していたことが許せなかったから。」
(「息をついた」「眉間のしわを深くした」「読む手が震えた」という描写からの判断です)

環境アセスメントは社会で、露頭は理科の中1地学で登場する用語です。
こういった用語が登場する小説を選ぶところに日比谷高校自校作成問題の国語らしさを感じます。

また、このとき朋樹は「怯んで」います。
「怯む」(ひるむ)は「怯える」(おびえる)と同じ漢字を使っていることからも分かる通り、「怖がっている」「ビビっている」ということです。
朋樹は何にビビっているのでしょうか。
それは、朋樹の口から明らかになっています。
「怒ってないんですか?」
そう、朋樹は戸川の怒りにビビっていたのですね。

気恥ずかしさ

あのとき感じた驚き
⇒息をのんだ/思わず声に出した/静かに息をついたの場面での朋樹の感情が「驚き」で確定する

気恥ずかしい
⇒素直に言葉にできない
⇒必死になって言葉じりを軽くしようとしている
=朋樹は素直になれていない
=まだ自分の殻を破れていないことを表している

戸川はふんと鼻を鳴らした

「鼻を鳴らした」は、主に嘲笑や不満といった心情を表す
⇒ここでは、その知識はなくても大丈夫
⇒前後を丁寧に読み解いていく

朋樹の質問
「~ですか?」「~みたいな?」「なんで」「~ですか?」
⇒戸川は鼻を鳴らす
⇒頭と体を同時に使うことが「病みつき」「中毒」「心地いい」

渋い顔

戸川:誰にもわからないからやる
⇒わかることではなく、わからないことを見つけていく
⇒まずは手を動かす(うまくいくことだけを選ぶのはだめ)

話がアンモナイト化石の発掘⇒科学⇒物事(「科学に限らず」)と広がっている
⇒朋樹の受験に関しての思い悩みも含まれた
⇒「まずは手を動かす」ことが解決策になりそう

午後(⇔不発に終わった午前中)

対比構造に注目:「うって変わって」などの変化を表す語句は対比構造を示す。
不発に終わった午前中(⇔すべてにケリがつく午後)


不発に終わった
=アンモナイトの化石が見つからなかった+ケリがつかなかった
=前述の一覧の②③にはケリがついた
⇒①④にケリをつける
⇒目当てのものを引っ掛けた
⇒①にケリがつきはじめている

キンキンキン

「キンキンキン」×10
=ここからラストまでに、ハンマーを叩く「キンキンキン」という音が10回反復されています
⇒ハンマーの音が絶えず鳴り響いているのがわかります
⇒谷間に鳴りわたるやかましいセミの声が聞こえてこないほどです
(音が止んだ途端に鳴りわたるということは、叩いているあいだは聞こえていないということです。
そのくらい集中している、ということです。「集中」は、ここで読み取れなくても後の部分で読み取れるようになっています。)
⇒そんな朋樹の思いは「急がないと」にも表れています。
⇒急いで化石を見つけないと、ということですね。

わかんねー

ここで、化石の話ではなくなります。
「志望校」「塾」というワードが出てきます。
つまり、①の話ではなくなり④の話になるということです。

受験に関する思い悩みに関して、自分の本当の気持ちが「わからない」としています。
先ほどの戸川さんの話を思い出しましょう。
「わからない」⇒「まずは手を動かす」、でしたね。

わかったことは、ただ一つ

「わからない」⇔「わかった」
という対比があります。
朋樹は自分の本当の気持ちはわからないのですが、わかったことがあります。
「化石になってたまるか」=「まずは手を動かそう!」
ですね。
①と④がつながっています。

化石は動きません。
死んでいます。
「化石になってたまるか」は、「とにかく行動だ!」という朋樹の決意表明です。
戸川さんからもらったアドバイスを活かしていますね。

そして、アンモナイトの化石発掘に夢中になることで「まずは手を動かす」を実践しているわけです。

思いもすぐに消え去る

思いが消え去るほどハンマーを叩くことに集中している描写です。
⇒上述の、ハンマーを叩いているあいだは「セミの声」が聞こえていない描写も同様です
⇒「叩くリズムは緩めない」「キャップを拾おうとはしない」「顔も上げない」も集中していることを示しています
⇒戸川さんの「夢中だな」の一言でそれが確定します。
朋樹はハンマーを叩くことに夢中になっています。

戸川さん、にやりとしています。
嬉しそうです。
必死な朋樹のことを黙って見つめていたり、朋樹の質問に対してふんと鼻を鳴らしている人と同一人物とは思えません。
こういう変化を見逃さないようにしてください。
このときの朋樹は、戸川さんのリアクションを変えてしまうくらい夢中、集中しているのです。

そして、朋樹は最後に「手応え」を得ます。

ここで本文は終わっています。

果たして朋樹は、アンモナイト化石の発掘に成功するのでしょうか?
受験に関する思い悩みはどうなるのでしょうか?
気になる方は、伊予原新さんの『アンモナイトの探し方』を読んでみるとよいのではないでしょうか。

あ、三年生は受験が終わってからにしてくださいね。

設問解説

「本文解説」のパートで、解説すべきことはすべて解説しました。
ここでは、それを設問が問うているかたちに即して再構成しています。
本文解説を確認する、くらいの位置づけで読んでいきましょう。

問1

(A)から(B)までの朋樹の心情の変化を答える問題
・「変化」には、「before」と「after」があります。
それぞれ具体化していきましょう。
bedore:戸川さんは、なぜこの古くて面白みのない博物館が大切なんだろう?
adfter:息をのんだ/思わず声が出た/静かに息をついた⇒あのとき感じた「驚き」

よって、「なんで?」という疑問から驚きに代わっています。
これが書いてある選択肢が正解です。

・・・という予想をしてから選択肢を見てくださいね。
先に選択肢を読んでしまうとどれを選んでいいかわからなくなりますよ。惑わされます。
正解以外の選択肢は、日比谷高校の先生が皆さんに間違えてもらうために必死で作成した選択肢ですからね。
日比谷高校に限らず、入試というのはそういうものです。

「戸川の博物館に対する思いがよく理解できなかった」(疑問)⇒「多くの学者が何十年にも渡って集めてきた大量のアンモナイトの化石を見て圧倒されている」(驚き)

これが正解です。

「つまり」以降の「いろんな場所で」「いろんな人が」「何十年も」のうち2つに言及されているのも分かりやすいですね。

「知らなかった」⇒「こっそりみられて感動」
疑問⇒驚き
どちらも違いますね。
どちらかとえば「感動≠驚き」のほうが分かりやすい(間違いだと判断しやすい)でしょうか。

「博物館は古くさくて面白みがない」⇒「魅力を感じはじめている」
「博物館は古くさくて面白みがない」。確かにAの前の朋樹はそう言っています。
だから、これは間違いと判断しづらいです。
でも、「魅力を感じはじめている」は×ですね。
「あのとき感じた驚き」と言われいるので、ここで感じているのは驚きです。魅力ではありません。

「戸川が博物館を大切に思う理由が分からなかった」⇒「戸川への関心が強くなった」
この選択肢も、前半はOKです。
しかし、後半は×ですね。
繰り返しになりますが、このとき朋樹が感じていたのは「驚き」です。
戸川への関心ではありません。

問2


ポイント①「聞きたかった」
⇒この後朋樹は何を戸川に聞いた(質問した)のか
⇒質問1「町長とじいちゃん、つまりダム建設賛成派にもう怒ってないのか」
 質問2「なぜ戸川さんはダム建設反対に回ったのか」

ポイント②「怯むような気持ち」
⇒戸川さんはまだ怒っているかもしれない、という恐怖(ビビり)

という2つのポイントをクリアしている選択肢を探します。

「怒りを覚える話かもしれない」⇒ポイント②が○
「展示室のパネルがはずされてたこと」⇒ポイント①が×

「怒られたらどうしよう」⇒ポイント②が○
「自分の考えも伝えておきたい」⇒ポイント①が×。ダムに関する朋樹の考えは出てこない。

「不愉快な話題であろう」⇒ポイント②が△。「怒り」ではないが、「不愉快」は怒りと同じマイナスの感情なので×ではないと判断。
「ダム建設に関わる経緯」⇒ポイント①が○

よって、×のないこれが正解です。

「身内の話をするのは気詰まりだ」⇒ポイント②が×
「祖父とのあいだで過去にどんなことがあったのか」⇒ポイント①が△。質問1の一部が反映されている。

※選択肢を見て読解を深める
問1の解説で、「予想をしてから選択肢を見ないと惑わされるから、必ず予想を立ててから選択肢を見て!」という話をしました。
しかし、入試本番ではまったく予想ができないこともあるかもしれません。
少しは予想ができても、自信が持てないかもしれません。
そんなときは、選択肢に頼るしかありません。
では、どう頼るのか。
この問題では、4つの選択肢のうち3つが「ポイント②が○or△」になっています。
選択肢をよんで、「なるほど、戸川の怒りに対して怯んでいたのか!」と気づくかもしれません。
そうすれば、エが消せます。
このようにして、選択肢を利用して候補を絞っていくこともできます。
入試本番ではあらゆる状況を想定しておく必要があります。
いわゆる「王道」の解法が通じない場合を想定しておくことも必要です。

問3

質問でしか思いを口にできなかった理由
⇒驚きを伝えたいのだが、気恥ずかしさもあって素直に言葉にできない
⇒言葉じりを軽くしようと必死
⇒質問をぶつける

ポイント①伝えたいのは「驚き」
ポイント②それを言葉にできないでいる

「戸川の誠実な態度」⇒×(無関係)
「どうして信念を…」⇒×(無関係)

「驚きを…」⇒○
「何に反応したかわからない」(⇒言葉にできない?)⇒?
判断を保留してウへ。

「興味が強くなっていることを…」⇒×(伝えたいのは「驚き」)

「戸川に強く心が引かれていることが本人に伝わるのが照れくさい」⇒×(「驚き」を「伝えたい」。)
「戸川に強く心が引かれている」も「本人に伝わるのが照れくさい」も×。

以上より、判断を保留したイが、×がないということで正解と判断します。

ちなみに、この問題でイをスパッと選ぶには
「午前中の朋樹」⇔「午後の朋樹」
の対比を意識する必要があります。

午後の朋樹は、「わかった」「化石になってたまるか」という描写やハンマーに集中していることから読み取れるように、悩みを振り切っています。
それに対して午前の朋樹はどうでしょう?「わからない」「思い悩んでいる」という状態ですね。
それが選択肢イの「自分の心が何に反応したかわからない」に表れているのです。

午前中と午後の朋樹の状態に関する対比構造は、「不発に終わった午前中とはうって変わって」という表現に注目すると気づくことができます。
対比構造への注目は日比谷高校など難関高校受験はもちろん、難関大学受験においても非常に重要になります。
常に意識してください。

問4

日比谷高校の合否に差がつく記述問題です。
記述問題への対策の成否が日比谷高校に合格できるかどうかを左右します。
心してかかりましょう。

・「キンキンキン」×10
・思いがすぐに消え去る
・「叩くリズムは緩めない」
・「キャップを拾おうとはしない」
・「顔も上げない」
・戸川さんの「夢中だな」の発言
以上から、朋樹がアンモナイトの化石を発掘する作業に夢中になっている、集中していることがわかります。

ということは、「ハンマーの音が止んだ途端、やかましいセミの声が谷間に鳴りわたる」という表現も朋樹が夢中になっている様子を描写していると判断できます。

これを言い換えると、「ハンマーの音がしている間は、セミの声は谷間に鳴りわたっていない」ということになります。
もちろんこれはウソですよね。
ハンマーの音がしている間、セミが何らかの原理で鳴くのをやめるというのは現実的ではありません。
では、「ハンマーの音がしている間は、セミの声は谷間に鳴りわたっていない」とはどういうことなのか。
それは、ハンマーでの発掘作業に集中している朋樹には、セミの声が聞こえていない(届いていない)ということです。
やかましいセミの声が聞こえなくなるほど集中している、ということです。

これに気付くことができれば、完璧に近い記述をすることができます。

解答例
ハンマーでのアンモナイトの化石発掘に夢中になっていて、谷間に鳴りわたるセミの声が聞こえていないないほどであるという様子。(60字)

問5

「化石になってたまるか」=「まずは手を動かそう!」
の関係に気が付けるかどうかです。
ヒントは、戸川さんの「わからんからやる」ですね。
ここと、
「わかんねー」⇔「わかったのはただ一つ」
を関連付けて気づきましょう。

そして、すべてにケリをつけてなお化石発掘に集中している朋樹にも注目します。

「一度立ち止まり」⇒「(まずは手を)動かそう」とは逆ですね。×です。

「将来を見据えて一つのことに取り組んでいこう」⇒良さそうに見えますが、「将来を見据えて」が×です。
このときの朋樹がアンモナイトの化石発掘に夢中なのは将来を見据えてのことではありません。

「いずれ意志も明確になるはずだ」⇒「まずは手を動かそう」との関連性がありません。×です。

「自分の気持ちが分からない」⇒直前の「わかんねー」に合致。
「今はただ目の前のことに向かって」⇒アンモナイトの化石発掘に夢中な朋樹に合致。
「とにかく行動していこう」⇒「まずは手を動かそう」に合致。
ということで、これが正解です。

問6

「本文全体において…精神的に幼い少年であることを強調している」
⇒2つの理由で×です。
①「・・・」や「ー」は間をあらわしている⇒朋樹は内省や思考ができる人物⇒幼くない
②朋樹は最終的に「まずは手を動かそう」の境地にたどり着いたことが明確に描写されている⇒幼くない
の2つです。
どちらか一方でいいので思いついてアを消したいです。

「キンキンキン」⇒「迷いながら」
本文解説や問4で見た通り、「キンキンキン」の反復は朋樹の集中の描写です。
迷いではありません。よって、×。

「科学的な用語を印象的に用いる」⇒?⇒判断に使用しない
「自身の知らない世界に憧れる」⇒彼が感じているのは「驚き」そして目の前のことに集中する境地に達した。
「朋樹は戸川さんに憧れているだろう」という読解がなされているとしたら、それは本文中の根拠外からの「勝手な推察」である。
よって、×。

「現代っ子風の朋樹の口調」⇒ヤバい、コンプリートしたいなど
「頑固な年配者風の戸川の言い回し」⇒じっとなどしておれんなどの言い回し、そして「ふんと鼻を鳴らす」「白い眉を持ち上げる」といった描写にも注目する(「にやりとする」と対比されている頑固老人っぽい描写全般に注目する)
消去法も活用しつつ、これが○だと判断する。

この年、日比谷高校の自校作成問題・国語の平均点は51.9点だったらしいです。
前の年よりも後の年よりも低いです。
後の年は平均点が64.3点だったとのことなので急激に易化しています。
それだけ、この年の国語の問題が難しかったということなのでしょう。
小説の問題は、読解の原理原則(https://hibiya-goukaku.com/method/japanese/で紹介しています)に沿って解けば大きな失点がしづらくなっています。
感情移入ではなく、読解の原理原則に沿って解く練習をしてください。

今回は以上です!

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